会社破産をしても車を残せますか?

1 会社名義で購入した車の場合は?

会社の所有する車両については,会社が破産する以上,破産手続きを通じて現金化され,債権者の配当に充てるのが原則となりますので,残すことができないのが原則となります。

しかし,リース契約などもなく,また,ローンが残っていない場合には,破産手続きが始まる前に,法人から,社長個人が会社から適正価格で買い取るなどして残せる可能性もあります。ただし,適正な価額で,総債権者の利益を侵害しないような方法により行わなければならず,条件次第ということになりますので,弁護士にご相談いただければと思います。

これに対して,会社の車両がリースである場合には,リース会社が車を回収することになりますので,残すことはできないでしょう。また,車のローンが残っている場合には,所有権留保といって,売主やローン会社に所有権が残っている場合があり,この場合も,ローン会社などにより引き揚げられてしまうのが原則です。このため,手元に残すことはできません。ただし,車検証の所有者の欄が売主などになっていても,実際にはローンを完済しており,名義変更を忘れているだけ

2 社長個人名義の車

法人破産同様,リース契約の場合やローンが残っている場合には,会社名義で購入した車のところで述べたのと同様,通常,車を残すことはできません。

これに対して,ローンを完済している場合には,車両の年式や価値によって,残せる場合があります。

車については,破産を申立てる際,中古車ディーラー等で査定を出してもらい,その金額を裁判所に報告する必要があります。そして,その価値が,自由財産の範囲内であれば,車をそのまま保有することができますが,これを超える場合には,原則として,保有は認められません。どうしても自動車が必要な場合は,自動車の価値と同じ金額を財団に組み入れる(管財人に支払う)等して,例外的に維持できる場合もあり得ます。

また,車両が古く,明らかに価値がないと評価されるような場合には,査定を出すことなく,保有が許されることになります。初年度登録から7年が経過しているかどうかが目安となりますが,高級車や大型車で,市場価値が高いと思われる車両については,この限りではありません。

車両を残せるかどうかについては,個別ケースによりますので,自己破産の際に,自動車を残したいというご希望をお持ちの方は,その旨を弁護士に申し出ていただければと思います。

法人破産の概要については、こちらよりご覧ください

法人破産は少しでも早くご相談下さい。

経営者の方は,責任感がとても強い方が多く,事業の継続が困難となってしまっているにもかかわらず,周囲に迷惑をかけられないという一心で,ギリギリまで頑張ってしまう方も多くおられます。

このため,結果として会社に手持ち現金がほとんどなくなってしまい,破産すら困難な状況となった段階で,はじめてご相談にいらっしゃるケースも散見されるところです。

 

会社は,経営者がそれまで人生をかけて築いてきたものでもありますので,破産という決断はとても苦しいことであるのは確かです。

ですが,事業が継続できない状況になってしまったのであれば,早めに決断をして,経営者ご自身の人生をリスタートさせる必要があります。これまで築いてきたものを手放す決断には勇気が必要ですが,人生は一度の失敗で終わってしまうようなものではありません。

破産をしてしまったとしても,また,新たなチャレンジをすれば良いのです。

 

破産によって,従業員や取引先等に迷惑をかけてしまうことは事実ですが,少しでも早く勇気ある決断をすることで,周囲への迷惑が最小限に抑えられる可能性があるのもまた確かです。

 

事業の継続を困難に感じられている方や,破産まで考える段階なのかどうかもよく分からない方につきましても,破産をする段階ではなかったとしても,ご相談をいただくことで,ともに打開策を考えることができますので,ご相談が早すぎるということはありません。

 

破産をする必要があるという段階の場合,少しでもお早めにご相談いただくことで,周囲への迷惑を最小限にとどめ,円滑に会社を終わらせることができます。

 

事業の経営継続にお悩みを抱えておられる方,資金繰りが困難となってしまった経営者の方につきましては,是非,お早めにご相談ください。

 

 

執筆者情報

下川絵美(広島弁護士会)
下川絵美(広島弁護士会)
下川法律事務所のホームページをご覧いただきありがとうございます。
当事務所は、広島に地域密着で、個人法務(離婚・相続・交通事故・労働災害・借金問題等)から、企業法務(予防法務・企業内トラブル・企業間トラブル等)まで、幅広い分野の案件を取り扱っております。
様々な法的分野のお悩みを抱えている方のお力になれるよう,所員一同,全力でサポートいたします。
広島で,法律トラブルを抱えておられる方は,お一人で悩まず,お気軽にご相談いただければと思います。
|当事務所の弁護士紹介はこちら
082-512-0565 082-512-0565

メールでのお問い合わせはこちら

LINEでのお問い合わせはこちら

メールでのお問い合わせはこちら

LINEでのお問い合わせはこちら