会社破産をしても年金はもらえますか?生活保護は受けられますか?

1 年金について

会社が破産したら,会社で掛けていた厚生年金がどうなるのか,不安に思われる方もおられるかも知れませんが,年金に対して直接の影響はありません。すぐに就職する場合には,新しい会社で厚生年金に入ることができますので,就職先に年金手性を提出して手続きをしてもらいましょう。

また,就職しない場合には,国民年金の加入手続きが必要になりますので,役所に行って手続きをしてもらいましょう。

なお,会社が社会保険料を滞納したまま倒産した場合,従業員に不利益が及ばないのかという問題があります。たとえば,会社が従業員の給与から,厚生年金保険料を天引きしていたにもかかわらず,これを滞納したまま破産して,結局支払わなかった場合に,従業員の年金受給額は減らされるのでしょうか。

これについては,厚生年金保険料を支払う義務があるのは会社なので,会社が天引きした保険料を支払わないままに破産したとしても,従業員が受給する厚生年金の受給額が減らされることはないと考えられています。

なお,社長個人も合わせて自己破産する場合において,年金が処分の対象となるかどうかを心配される方もおられるかも知れません。

これについて,国民年金や厚生年金などの公的年金については,差押禁止債権に該当するため,自己破産をしても受給ができます。

これに対して,個人で保険会社などと契約する個人年金については,個人の財産として差し押さえの対象となるため,当該年金の解約返戻金の見込額が一定金額以上になる場合には,原則として自己破産の手続きの中で処分の対象となります。

2 生活保護について

  自己破産をした場合には,生活保護を受けられないというイメージを持っておられる方もいらっしゃるかも知れません。ですが,生活保護を受給するための要件の中に,自己破産をしているかどうかは含まれていませんので,過去に自己破産を行ったことは,生活保護には影響しません。むしろ,生活保護費の中から,借入を返済することはできませんので,生活保護を受けるに当たって,自己破産を選択するというケースが多いといえます。

  生活保護を受けるための要件については,生活保護法4条に記載があります。

①資産の活用②能力の活用③あらゆるものの活用④扶養義務者からの扶養の全てを行っても,収入が最低生活費を下回ることが必要となります。

このため,働きたくても身体を壊しているなどして働けず,また,資産もなく親族からの扶養も期待できない場合などが対象となるでしょう。

法人破産の概要については、こちらよりご覧ください

法人破産は少しでも早くご相談下さい。

経営者の方は,責任感がとても強い方が多く,事業の継続が困難となってしまっているにもかかわらず,周囲に迷惑をかけられないという一心で,ギリギリまで頑張ってしまう方も多くおられます。

このため,結果として会社に手持ち現金がほとんどなくなってしまい,破産すら困難な状況となった段階で,はじめてご相談にいらっしゃるケースも散見されるところです。

 

会社は,経営者がそれまで人生をかけて築いてきたものでもありますので,破産という決断はとても苦しいことであるのは確かです。

ですが,事業が継続できない状況になってしまったのであれば,早めに決断をして,経営者ご自身の人生をリスタートさせる必要があります。これまで築いてきたものを手放す決断には勇気が必要ですが,人生は一度の失敗で終わってしまうようなものではありません。

破産をしてしまったとしても,また,新たなチャレンジをすれば良いのです。

 

破産によって,従業員や取引先等に迷惑をかけてしまうことは事実ですが,少しでも早く勇気ある決断をすることで,周囲への迷惑が最小限に抑えられる可能性があるのもまた確かです。

 

事業の継続を困難に感じられている方や,破産まで考える段階なのかどうかもよく分からない方につきましても,破産をする段階ではなかったとしても,ご相談をいただくことで,ともに打開策を考えることができますので,ご相談が早すぎるということはありません。

 

破産をする必要があるという段階の場合,少しでもお早めにご相談いただくことで,周囲への迷惑を最小限にとどめ,円滑に会社を終わらせることができます。

 

事業の経営継続にお悩みを抱えておられる方,資金繰りが困難となってしまった経営者の方につきましては,是非,お早めにご相談ください。

 

執筆者情報

下川絵美(広島弁護士会)
下川絵美(広島弁護士会)
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