目次
広がる終活
少子高齢化という社会状況を反映し,近年,「終活」を行う方が増えています。
終活とは人生の終わりのための活動であり,一般的には,家族や周囲に迷惑をかけずに人生を終わるための準備というイメージをお持ちの方も多いかと思います。
しかし,終活は,自分の人生に最後まで自分の意思を反映し,主体的な人生を送るための準備ともいえます。
あなたも,周囲のためだけではなくご自身のために,元気なうちから少しずつ終活を始めてみませんか。当事務所では,皆様の終活をサポートしておりますのでご相談下さい。
終活をしてなかったら
認知症等で判断能力を失うと,あらゆる法律行為が出来なくなってしまいます。
このため,ご本人はもちろん家族であってもご本人名義の財産を動かすことが出来なくなりますので,ご本人が何も準備をしていない状態で認知症となってしまうと,預金の引き出しすら出来なくなります。
このため,ご本人の財産を動かすために,家庭裁判所に成年後見の申立をすることになります。その際,ご家族に争いがない場合には,ご家族の誰かが後見人となることになりますが,ご本人が誰を後見人にするのかを選ぶことが出来ません。紛争があるような場合には弁護士等の専門家が後見人となりますが,ご家族の依頼した弁護士か,あるいは,裁判所が名簿順に選んだ弁護士が後見人に選任されることとなります。このため,財産管理を行ってもらう後見人をご自身で選ぶことは出来ないのです。
このようにして,ご本人の財産は,成年後見制度を通じて,家庭裁判所の監督の下管理されることとなります。
その後,ご本人が亡くなった後の相続は,法律で決まった割合(法定相続)によるか,相続人が話し合って相続分を決めたりする様になります。
その際,相続人同士で争いとなって,その後関係が断絶してしまうケースすらあり得ることはよく聞かれる話かも知れません。
このように,準備をしない状態で認知症になったら,生前の財産管理を誰にどのようにしてもらうのか,また,死後の相続についても,本人の意思が全く反映されないことになってしまうのです。
当事務所でサポートできる終活の内容
遺言作成
まず最初に着手すれば良い終活は,遺言書の作成かも知れません。
どの財産を誰に相続させるのかを遺言に遺すことで,死後の財産の行方をご自身で決めることが出来ます。
遺言はご自身でも作成することが出来ますが,方式により要件が定められているため,法的に疑義のない遺言を遺して後の紛争を防止するためには,弁護士のサポートを受けた方が良いでしょう。
死後事務委任契約
ご本人が亡くなった後,葬儀やお墓はどうするか,役所への行政手続き,病院代の精算,年金手続き,クレジットカードの解約,死後に誰かに伝えて欲しいことがあるか等のやって欲しいことを決めて,これを実行してくれる相手と契約することです。
元気なうちに,このような死後事務委任契約を結んでおくことで,死後にやって欲しいことをやって欲しい相手に依頼することが出来るのです。
この契約は,身近な親族や知人と行うことも出来ますし,弁護士等の専門家へ依頼することも出来ます。
任意後見制度
将来ご自身の判断能力が不十分になってしまったときのために,代わりにご自身の意思に基づいて財産を管理してくれる人を決めておくのが任意後見制度です。
「終活をしていなかったら」の項で述べたように,準備なしに判断能力を失ってしまった際に選ばれる後見人は,ご自身で選ぶことが出来ないので,事前に決めて備えるのが安心でしょう。
家族信託(民事信託)
終活の手段として近年注目を集めているのが家族信託(民事信託)制度です。
家族信託とは,簡単にいうと,判断能力を有するうちに,信頼できる相手に財産の管理を委ねる仕組みです。
これに加えて,家族信託契約には,単純な財産管理のみならず,財産の承継についても定めることが出来るため,終活における役割としては,1の遺言と3の任意後見の役割を併せ持つ仕組みであるといえます。
たとえば,ご自身が判断能力を失った場合には,ご自身の預金を使って,ご子息に,自宅管理や,ご自身の介護費用の支払をお願いしたいと考えている様なケースが典型的です。
このようなケースでは,信託契約により,自宅不動産と預金(一部でも可)を信託財産として,ご子息に移転させます。ただし,信託契約の縛りを受けるので,この不動産,預金はご子息が自由勝手に使えるというわけではなく,自宅の管理費用,ご自身の管理費用にのみ使えるという縛りを受けます。
また,ご自身が亡くなった場合に財産を引き継ぐ者を定めることが出来るので,ご自身が亡くなった場合には自宅と残余預金については,ご子息に移転させると定めることによって,目的を達成することが出来ます。
家族信託は,認知症対策と相続対策を兼ねることが出来るという意味でおすすめの終活と言えます。
おひとりさまの方へ
近年,多様な価値観のもと,結婚を選択されない方が増えているだけはなく,高齢化によって伴侶を失うことで,人生の後半をおひとりさまで過ごされる方は増えています。
おひとりさまは,万が一の場合のサポートを他人に頼まざるを得ないため,終活問題はより切実な問題といえるかも知れません。
しっかりした判断能力があるうちに,判断能力を失った場合や突然に入院などに備え,任意後見契約を結んでおくこと,また,死後事務委任契約によって,死後の諸手続に備えることで,安心して充実した生活を送ることが出来るのではないでしょうか。
また,相続人がいないからといって,遺言を遺さなければ,ご自身の遺産は全て「国庫帰属」といって国に納められることとなります。ご自身の築かれた財産の使い道をご自身で決めることは,ご自身の人生を納得あるものにするためにも大切ではないでしょうか。
遺言を作成することで,生前良くしてくれた人に遺贈したり,ご自身が共感する団体に寄付したりすることで,意思を反映させてみてはいかがでしょうか。
当事務所では,専門家として,おひとりさまの終活を全力でサポートしておりますので,ご相談をいただければと思います。
執筆者情報
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